ロタティオン「lotus-2」……劇場アニメ『千年女優』主題歌:平沢進
2002年9月に劇場公開された『千年女優』と、主題歌の『ロタティオン「lotus-2」』のご紹介です。
今敏監督が手掛けたオリジナルアニメーションです。
かつて映画会社『銀映』の看板女優だった伝説の大女優・藤原千代子。
30年前に忽然と銀幕から姿を消して表舞台に現れることのなかった千代子は、古い撮影所が取り壊されることを機に千代子の半生を描くドクメンタりーの制作をすることになり、これまで一切受けることのなかったインタビューを受けることになりました。
企画を立てた映像製作会社社長・立花源也は、かつて銀映に所属しており、現役時代から千代子の大ファンで、彼女の現役時代を知らない同行する若いカメラマンが千代子を軽んずるような発言をすると大激怒していました。
インタビューをするために千代子の屋敷を訪れた立花は、銀映に勤めていた時に拾った千代子の鍵を返します。
その鍵をきっかけに、千代子は鍵の君との思い出を語り始めます。
それは女学生の頃に恋した名も知らない男性を生涯をかけて追い求める彼女の半生。
そして、その思い出は、千代子が演じ続けた映画の世界と入り混じり、壮大なラブストーリーを描き出します。
「この愛は狂気に似ている」というキャッチコピーで公開されたこのアニメ。
名前も知らず顔もよく覚えていない鍵の男を追い続ける千代子。
最後に、彼女はその男を追い続ける自分自身が好きであったと口にします。
悪い言葉を言えば彼女の生涯は悲劇のヒロインである自分自身を演じ続けるものだったのかもしれません。
劇中劇という形をとることで、現実とフィクションを織り交ぜながら、本来いるはずのない人物を登場させたりといた演出を加えることで、現実とフィクションの境目を曖昧にして、あたかもそれが前世から続くような壮大な物語のように描かれます。
知名度は低いかもしれませんが、その演出の巧みさは紛れもなく日本アニメ史に残る名作と感じます。
『千年女優』の主題歌が、音楽を担当したミュージシャンの平沢進の『ロタティオン「lotus-2」』でした。
もともと今敏監督が平沢進のファンであり、初めてタッグを組んだ作品でした。
タイトルにlotus=蓮と入っていますが、仏教などでは蓮は泥水の中から美しい花を咲かせるという意味から、仏の教えを象徴する花とされ、劇中でも色々な場面で出ており、否応なく輪廻転生とか六道輪廻と言われるような永遠に生と死を繰り返す仏教の世界観を想起するような演出になっていました。
そんな映画の世界観を象徴するような壮大な曲で、平沢進の素晴らしい歌唱に否応なく引きずり込まれます。
余談ですが2010年8月に46歳の若さで急逝した今敏監督の出棺の時にも使用された曲なのだとか。
千年女優オリジナルサウンドトラック(CD)
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