彼方……劇場アニメ『氷川丸ものがたり』主題歌:小田和正
2015年8月に劇場公開された『氷川丸ものがたり』と、主題歌の『彼方』のご紹介です。
原作は戦前から戦後にかけて数奇な運命をたどった「氷川丸」の物語を、貴重な資料や写真、インタビューをまとめたエッセイ『氷川丸ものがたり』です。
虫プロダクションにより長編アニメーションとして製作され、終戦から75年となった2015年8月に劇場公開されました。
氷川丸は1930年に竣工し、日本郵政の1200t級貨客船でした。
動くホテルとして北太平洋航路で運用されましたが、戦争がはじまると1941年11月に日本海軍に徴用され、病院船として利用されました。
終戦後も、復員船として従事し、南方や満州から45000人の帰国者の輸送を行いました。
その後、ようやく商船として復帰し、1953年に北太平洋航路への復帰を果たしました。
1960年10月、最後の航海を終えることになります。
その後は、解体の予定もあったものの、保存を求める声に後押しされ、大規模な改修が行われた後、1961年から山下公園に係留され一般に公開されることとなりました。
映画公開後の2016年8月に国の重要文化財に指定されました。
主人公は、母親を関東大震災で亡くし、父の南京そばの屋台を手伝っている13歳の平山次郎少年。
野球少年の彼は、横浜港を出港する「氷川丸」を見ながら、あの船で働きたいと思っていました。
次郎は、それほど時を待たずに、縁あって氷川丸で働くことになりました。
氷川丸の船員たちは埃と愛情を胸に、厳しい規律を守り、上質の接客サービスに努めていました。
厳しい先輩たちに時に叱責され、時に慰められながら、次郎は成長していきます。
想像以上に過酷な氷川丸の仕事をこなす中で、淡い恋心を抱くような相手との出会いもありました。
しかし、1941年に戦争がはじまると、氷川丸も病院船として徴用され、次郎も召集令状を受け取り戦地に行くことになります。
戦前・戦中を舞台にした映画ですが、「反戦平和!」と声高に叫ぶのではなく、次郎の成長を通して「戦争をしてはならない」「生きることの素晴らしさ」というメッセージを強く受ける作品でした。
『氷川丸ものがたり』の主題歌に使用されたのが、小田和正の歌う『彼方』でした。
新しい生命の誕生とともに、命の永遠の繋がりを歌っているように感じます。
そして、その小さな命から、周りの大人たちは何を受け取るのか。
歌詞を読めば読むほど、哲学のようにも感じるし、もっと単純なことを歌っているようにも感じる曲です。
2013年にJRAのCMでも使われた曲ということなので、『氷川丸ものがたり』のために作られた曲ではなかったのでしょうが、昭和の時代を今に伝えている氷川丸の物語を描いたアニメの主題歌として、すごく良い選択だったと思います。
彼方 - 小田 和正(iTunes)
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