愛は花、君はその種子……劇場アニメ『おもひでぽろぽろ』主題歌:都はるみ
1991年7月に劇場公開された『おもひでぽろぽろ』と、主題歌の『愛は花、君はその種子』のご紹介です。
原作は、岡本螢原作・刀根夕子作画の同名漫画で、高畑勲監督、スタジオジブリ制作の長編アニメーションです。
東京でOLをしている27歳のタエ子は、休暇を利用して山形にいる農業を営む義兄の親類の所に向かうことにします。
寝台特急に揺られながら、小学5年生の頃の記憶を思い出すタエ子。
思い出とともに過ごす農家での暮らしにも馴染み、そんな生活にも魅力を感じるようになります。
そんなタエ子に、滞在先の息子、トシオと結婚し、ここに住まないかとトシオの祖母が伝えてきます。
しかし、農家の生活を心地よく思っているのは、所詮都会での生活を送っている自分の憧れに過ぎず、とても務まらないと感じたタエ子は、逃げ出してしまい、帰ってきたトシオと鉢合わせになります。
トシオの明るく誠実なところに轢かれるようになったタエ子でしたが、その気持ちを打ち明けることなく東京へ向かう列車に乗り込みます。
一人の女性の精神的な自立を描いた作品。
田舎の原風景が織り込まれた世界観や、一人の女性の精神的な自立というテーマが味わい深く感じます。
もっとも、初めて見たのは10代のときで、その時は正直退屈なアニメという印象で、味を感じるようになったのは年を経て別の視点で物を見られるようになったからかもしれません。
もっとも、田舎生まれ田舎育ちの立場からすれば、田舎に夢を見すぎという最初に感じた印象は、今も拭えないのですが。
『おもひでぽろぽろ』の主題歌が、都はるみの歌う『愛は花、君はその種子』でした。
ベット・ミドラーが歌った1979年のアメリカ映画『ローズ』の主題歌である『ローズ』を、高畑勲監督が日本語に訳した曲です。、
原曲の意味や雰囲気を損なわず、丁寧な日本語に訳された歌詞が素晴らしく(ちょっと硬い気もしましたが)、そこに都はるみの高い歌唱力が加わり、静かな中に力強さを感じる名曲に仕上がっています。
愛は花、君はその種子 - 都 はるみ(iTunes)
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