ルパン音頭……劇場アニメ『ルパン三世 ルパンVS複製人間』主題歌:三波春夫
1978年12月に公開された『ルパン三世 ルパンVS複製人間』と、主題歌の『ルパン音頭』のご紹介です。
モンキーパンチ原作のルパン三世の初めての劇場映画作品です。
1971年10月から1972年3月にかけて放送されたテレビアニメシリーズ第1期は大人向けを意識した展開が災いし、低視聴率に終わりましたが、再放送で人気を博し1977年の第2期の製作に繋がりました。
子供向けにバラエティーに富んだ作品が展開された第2期は大好評となり、3年間、全155話のの長期放送となり、ルパン三世のイメージが定着しました。
第2期放送中に制作された『ルパン三世 ルパンVS複製人間』では観客の対象年齢をやや高めに設定し、「第1期のような大人向け」のルパン三世を製作しようとし、当時タイムリーなネタであったクローン技術を物語の核に据え、性的表現や作風も第1作に近づけるなどしましたが、実際に観賞したのは子供層が多く、次作の『ルパン三世 カリオストロの城』では対象とする年齢を引き下げて企画が立てられました。
ルパン三世がある国で処刑されたとの情報を得たICPOの銭形警部は、真偽を確かめるべく現地に向かいます。
しかし、その遺体はクローンによって生み出されたフェイクで、本物のルパンが銭形の前に姿を現すと相変わらずの人を食ったような台詞とともに消えてしまいます。
それから少し後、不二子に利用される形でエジプトのピラミッドから賢者の石を手に入れたルパンは、不二子に賢者の石を奪われてしまいます。
不二子もまたマモ―という大富豪の意を受けて動いていましたが、ルパンが渡した賢者の石が偽物だったため、マモ―の逆鱗に触れルパンの下に逃げ込みます。
ところが再びルパンを欺き、今度はルパンをマモ―の部下に引き渡してしまいます。
とある孤島でマモーと出会ったルパンは、自らを神と名乗り、1万年に渡り複製(クローン)を繰り返しながら永遠の命を手に入れたのだと聞かされます。
その頃、アメリカ合衆国もマモーから最新の研究成果を引き渡すように恫喝を受けており、秘密裏に情報を集めていました。
マモーから逃げて島中を駆け回っていたルパンと不二子はすんでのところで救援に駆け付けた次元と五ェ門に救われ、マモーは次元によって射殺されます。
さらにアメリカ空軍による空爆も始まり、全ては終わったかのように思われました。
しかし、コロンビアの田舎町で一息ついていたルパンたちの前に死んだはずのマモーが現れ、奇妙な力で不二子を連れ去り、ルパンに対して「処刑されたルパンは本当にクローンだったか? 実は処刑されたルパンこそが本物で、お前はクローンに過ぎないのではないか?」と嘲ります。
そして、ルパンの「神なら奇跡を見せてみろ」という挑発に応えるかのように巨大地震が発生し、町は壊滅します。
マモーの力を目の当たりにした次元は心が折れ、ルパンにもこれ以上関わらないようにと忠告します。
しかしルパンは、不二子を助けるために、単身マモーの本拠地に乗り込みます。
『ルパン三世 ルパンVS複製人間』の主題歌が、三波春夫の歌う『ルパン音頭』でした。
三波春夫は当時すでに紅白歌合戦の出場回数は20回を数え確固たる地位を確立していた大スターで、演歌の大御所がアニメの曲を歌うのは当時としては異例でした。
これは東京ムービー(現トムス・エンタテインメント)の藤岡社長の独断での演出であり、事前に知らされていなかった吉川監督が降板を口にするような事態になってしまったという話も残っています。
実際、原作のモンキーパンチが作詞し、ルパン三世の世界観をコミカルに表現したこの曲は、ハードボイルド全開でシリアスなこのアニメを台無しにしているという意見もあり、エンディングにこの緊張感の抜けた曲が流れると度肝を抜かれたという観客も多かったでしょう。
個人的には、ルパン三世は最後はドタバタで終らないと、と思うところがあるので、シリアスの最後にあのギャップがいいと思うのですが。
三波春夫のにこやかな笑顔でルパン音頭を歌っているのを想像すると何だか和みますが、あの美声がルパンを演じた山田康雄によく似ていたため、勘違いする観客も多かったとか。
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