海になれたら……TVアニメスペシャル『海がきこえる』主題歌:坂本洋子
1993年5月に日本テレビで放送された『海がきこえる』と、主題歌の『海になれたら』のご紹介です。
原作は氷室冴子の同名小説。
スタジオジブリ制作のアニメの1つとして「ジブリがいっぱいコレクション」にも収録され、DVD・Bru-rayでも発売されていますが、もともと若手のスタッフに何か一本作品を作らせようという企画の中で制作された作品だったそうで、登場人物の声をあてているのがほとんど職業声優だったり、劇場公開ではなくテレビアニメだったりと、ジブリアニメの中でも特異な作品です。
午後4時からの放送という時間帯にもかかわらず視聴率17%を超えたアニメでしたが、それでも予算が合わなかったそうで、同様の企画は行われませんでした。
主人公の森崎拓は高知の進学校から東京の大学に進学した大学生です。
帰省と高校の同窓会が近づくある日、吉祥寺駅のホームで、懐かしい女性の顔を見かけたような気がして電車を降りますが、見つけられず諦めます。
彼女と出会ったのは、高校時代。
中学生の時は修学旅行の中止に異を唱えるなど行動力があるのか軽率なのかよく分からない面があったりしますが、そのおかげ(?)で親友と呼べる存在が出来たりしています。
高校2年の夏、季節外れの転校生、武藤里伽子の存在によって、穏やかだった高校生活にさざ波が立ち始めます。
容姿端麗、スポーツ万能、成績優秀。
何より、高知の田舎育ちとは毛色の違う東京の匂いを纏った里伽子は、高知にも学校に馴染もうとせず、次第に孤立していきます。
高校2年の修学旅行で金を貸したことがきっかけで、拓もまた里伽子に微かな反感を抱くようになりますが、ふとしたことをきっかけに一緒に東京へ行くこととなり、彼女の複雑な事情や感情を知ることになります。
見る年代によって受ける印象の変わるアニメかな、と感じます。
最初に見た時は中学生で、ワガママ女に振り回される、どこか煮え切らない話という印象でしたが、年齢を経て、原作も読んで、それから見たら、子供と呼ぶには世間を知っていて、大人と呼ぶにはまだまだ甘くて、そんな年代の甘酸っぱい青春劇を丁寧に描いた作品だったと思います。
ただ原作の良さは大学時代の回想という形式をとっている面も大きいと思って椅子ので、72分という時間で大学時代のエピソードをバッサリと切らなければならなかったのは残念だったと感じます。
『海がきこえる』の主題歌が、ヒロインの武藤里伽子の声を演じた坂本洋子が歌う『海になれたら』でした。
哀愁漂う歌詞と曲調の曲で、今聞くと若かりし頃も遠くなってしまったなぁと切なく感じます。
決して青春なんて遠き日の夢の如きものなんて思っているわけではないのですが、「ゆっくりと身を任せて漂えば 思うままの自分に成れる」なんて歌詞は、それで大人になった今の自分は満足なのかと問われると言葉がなくなってしまいます。
海になれたら - 永田茂(iTunes)
海になれたら(Amazon MP3)
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