愛ゆえに哀しく……劇場アニメ『FUTURE WAR 198X年』主題歌:ポプラ
1982年10月に劇場公開された『FUTURE WAR 198X年』と、主題歌の『愛ゆえに哀しく』のご紹介です。
東西冷戦の時代、目前にあった全面核戦争の危機を描いた作品です。
ファンタジーの世界や設定を盛り込まない戦争アニメということで特異な作品といえます。
その内容から、製作準備段階から制作の東映動画の組合は猛反発し、他団体の参戦する形でで反対運動を繰り広げられ、「『198X』に反対する会」が結成されるなど、公開前から騒動が巻き起こったアニメでした。
東映動画の制作スタッフがボイコットをしたため、実制作の多くが外注のクリエイターの手によるものとなり、シナリオも反対団体の抗議などを受け、より平和を希求する内容に改変されました。
舞台となるのは決して遠くない未来。
アメリカが開発した衛星兵器が世界の軍事バランスを崩そうとしていました。
この衛星は、核ミサイルが発射されても、レーザーによって大気圏外に排除するというものでした。
この技術を脅威に感じたソ連は、開発の中心にいたゲイン博士を誘拐し、衛星兵器の秘密がソ連に漏れることを恐れたアメリカのギブスン大統領は、博士が連れ込まれたソ連の原子力潜水艦を撃沈します。
ゲイン博士とともに衛星兵器の開発に関わっていた博士の妹のローラと研究者の三雲渡は、ゲイン博士の死をきっかけに恋愛感情を抱くようになっていきます。
ソ連では「戦争の好機」と叫ぶ強硬派のブガーリン国防相と、開戦反対派のオルロフ書記長が対立していました。
そんな折、西ドイツにソ連のパイロットが最新鋭戦闘とともに亡命する事件が発生します。
この時、ソ連の主導権はブガーリンが握っており、戦闘機の情報を秘密にするために西ドイツの基地が攻撃されたことをきっかけに、NATOとソ連は交戦状態に陥り、世界全面核戦争へと突入していきます。
講和を模索するギブスン大統領と、穏健派によってブガーリンが排除されたソ連は、和平の道に進もうとしていましたが、死の間際にブガーリンが放った最後の核ミサイルが人類を破滅に導こうとしていました。
『FUTURE WAR 198X年』の主題歌が、ポプラの歌う『愛ゆえに哀しく』でした。
悲哀のこもった歌詞のバラードで、実力派ジャズ歌手のポプラの声がよく合った良曲です。
全面核戦争を描いた稀有な作品の主題歌が、ラブソングというのも不思議な気はしましたが、ラストにはよく合っていました。
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