きみのこえ……劇場アニメ『雲のむこう、約束の場所』主題歌:川嶋あい
2004年11月に公開された劇場アニメ『雲のむこう、約束の場所』と、主題歌の『きみのこえ』のご紹介です。
『君の名は。』の新海誠監督の2作目の長編アニメーションです。
南北に分断された別の歴史をたどった戦後の日本。
世界の半分を支配する共産国家群「ユニオン」は「エゾ」の中央に、果てしないほど高い塔を建造していました。
津軽海峡を挟んで本土側――青森県の津軽半島に暮らす中学3年生の藤沢浩紀と白川拓也は、ユニオンの意図は分からないまま、その塔への憧れを強くしていました。
いつか飛行機で海峡を越えてあの塔まで行きたい――そんな無謀な計画は、飛行機ヴェラシーラの製作が着々と続き、現実に近づいていました。
しかし、海峡を超えるということは立派な犯罪行為。
この計画を他人に話すことはしないという約束でしたが、クラスメイトの沢渡佐由理に浩紀が口を滑らせてばれてしまいます。
佐由理もこの計画に興味を持ち、積極的に共犯者になってくれ、3人の友情は深まっていきます。
「ヴェラシーラが完成したら佐由理を塔まで連れていく」と約束した浩紀でしたが、ある日突然佐由里は姿を消します。
そして、浩紀たちもヴェラシーラの製作を止めてしまいます。
もはや、この計画は佐由里なくして考えられないものになっていたからでした。
3年後、戦争が始まろうとしていました。
「ユニオン」が建てている塔は、宇宙が見た夢――平行宇宙を観測し、高度な未来予知をするための装置であると考えられていましたが、塔はただの観測設備に留まらず「ユニオン」の計画通りか否かはさておき、塔の半径数キロは平行宇宙に浸食され、飲み込まれようとしていました。
しかし、何故かそれ以上は浸食は進まず停滞した状態にあり、そこには佐由理の存在が関わっていました。
佐由理がいなくなってしまった辛さから青森を離れて東京で生活していた浩紀は、佐由理が原因不明の奇病に置かされ、ずっと眠り続けていることを知ります。
彼女を救うために、かつての約束を果たそうと考えた浩紀は、佐由理の行方を捜し、青森へと帰ります。
一方拓也は、反ユニオン組織に関わり塔の研究を行っている人物からも情報を得ており、そこに佐由理がどう関わっているかもよく知っていました。
そして、アメリカとユニオンの開戦が目前に迫っていることも。
そこへ、突然戻ってきて拓也に協力を求めてきた浩紀に、拓也は「佐由理を救うか、世界を救うかだ」と一度は拒絶しますが、再び団結し、ヴェラシーラの完成を急ぎます。
そして、ついに先端が開かれる中、浩紀は佐由理を後部座席に乗せて飛び立ちます。
結局ラストは佐由理も目覚め、塔も消失してハッピーエンドのように思えるものの、冒頭での場面を考えると浩紀にとっては結果を喜びつつもすべてを失った苦いエンドなのでしょう。
もしも次があるなら、もっとうまくやれるだろうに。
そんな苦い思い出をふと思い出してしまいました。
個人的には好きな作品でしたが90分強という時間は少し短すぎたかと。
前半の若く幼い甘酸っぱい恋の話はうまく描かれているように感じるもののやはり短く感じましたし、後半、一気にSFアニメになっていくのは作中用語が多すぎて理解している間に置いてきぼりにされたような印象を受けます。
もしも、1クールのテレビアニメシリーズだったら……と考えてしまいます。
『雲のむこう、約束の場所』の主題歌が、川嶋あいの歌う『きみのこえ』でした。
公開当時は歌手の名前は公開されておらず、シングルの発売もされていませんでした。
浩紀と佐由理の切ない未来を歌っているような曲で、そこに川嶋あいの素朴で綺麗な歌声がマッチしています。
雲のむこう、約束の場所 オリジナル・サウンドトラック(CD)
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