風姿花伝……劇場アニメ『三国志』主題歌:谷村新司
1992年1月に第1部が公開された劇場3部作のアニメ映画『三国志』と、主題歌の『風姿花伝』のご紹介です。
中国四大奇書の1つである三国志演義を原作に、オリジナル要素を加えながら描かれた作品です。
制作費15億円、製作期間10年という大作映画。
1992年1月に公開された第一部では黄巾の乱に始まり、三国志史上最大の豪傑である呂布の死までが描かれます。
1993年3月公開の第二部では、劉備玄徳が蜀漢を建国し、1994年4月公開の完結編では五丈原で諸葛孔明が没するまでを描いています。
広く知られた三国志演義の世界を、一部あたり2時間強程度で描いた大作で、見ごたえのある作品。
今から約1700年前の中国大陸。
漢王朝が力を失い、様々な思惑を胸に、覇権をかけて戦う者たちを描いています。
忠義とは何か、改めて感じさせられる作品です。
横山光輝の『三国志』の好きな人にはいい作品でしょう。
正直なところ敵方の扱いが悪く、少々、蜀びいきにすぎるという印象ですが、大分、端折ってはいるものの忠実に描いた作品だと感じました。
それだけに完結編が関羽の娘・鳳姫というオリジナルキャラクターを登場させ、原作で孔明の後継者と扱われている姜維の役割を担わせたオリジナルの演出は不満。
男臭い話になってしまうのは仕方ないと思うし、そこに何かしらの花を添えたいというのは分からないでもないのですが…。
『三国志』の主題歌が、谷村新司の歌う『風姿花伝』でした。
エンディングでこの曲がしっとりと流れると、男たちの濃密な生き様や、その中で素朴に生きる人々が描かれた物語の余韻をさらに深いものにしてくれました。
『風姿花伝』で検索すると、世阿弥が残した能の技法書の1つが出てきます。
『風の姿は花が伝える』というのも、不思議なタイトルですが、風は目には見えないものなので、表現をしようとすると何かが動く様を捉えるしかありません。
時もまた同様で、目には見えず感じるしかないですが時の積み重ねの末に今があることは常に感じます。
目には見えないものを表現する術を持つ素晴らしさを感じる曲です。
風姿花伝 - 谷村新司(iTunes)
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